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株式会社上市屋銘木店のよもやま話~伐採・集材・搬出:作業システム最適化~

皆さんこんにちは!
株式会社上市屋銘木店、更新担当の中西です。

 

現場の利益は“1本あたりの単価”だけでなく、“1時間あたりの出来高×ムダの少なさ”で決まります。伐採→枝払い/玉切り→集材→土場(仮置き)→積込→運搬までを一つの作業システムとして最適化し、サイクルタイム短縮と品質(仕分け精度)を両立させるのが本回のテーマです。地形・樹種・径級・路網・機械・人員の“組み合わせ”を具体例で掘り下げます。

 

1) 現場条件の読み解き:最初の30分が利益を左右する ⏱️
• 傾斜・地耐力:地耐力の弱い場所では履帯幅の広い機械、湿地帯はマット敷設を想定。平均傾斜15〜25°を境に地引き中心か簡易架線/スイングヤーダかの判断が変わります。
• 集材距離:集材距離は100mを超えると急激にコストが上がりがち。路網の増設・土場位置の再設計で距離短縮を最優先に。
• 径級分布:胸高直径20〜24cm中心か、24〜28cm中心かでハーベスタのヘッド設定や切断長の最適点が変化。歩留まり表を現地で更新しましょう。
• 制約条件:保安林・渓流・緩衝帯・文化財・私有地境界。“やってはいけない線”を最初に地図と現地杭で可視化し、後戻りをゼロにします。

 

2) 作業システムの“型”を持つ:地形×径級で選ぶ
1. CTL(カット・トゥ・レングス)型:ハーベスタ(伐倒・枝払い・測尺)→フォワーダ(集材)。地引き中心、勾配が緩く径級が中小の人工林に向く。仕分け精度が高く在庫管理と相性◎。
2. 長尺・プロセッサ+スイングヤーダ型:伐倒→集材→土場でプロセッサ処理。中〜急傾斜で集材距離が長い場合に有効。待ち時間が発生しやすいので、集材側と処理側のタクト合わせが肝。
3. ケーブル(タワーヤーダ/スカイライン)型:急傾斜・谷地形・崩壊リスク対策。設営・撤収の時間を見込んだ上で、一度にまとめて引く計画で歩留まりを確保。
4. 小規模ウインチ+簡易架線型:小面積・アクセス困難地。人員の安全動線と退避場所の設定を最優先に。
TIP:現場の“標準構成表”を用意(地形×径級×路網密度×集材距離→推奨システム)。新人配置時の判断ブレを防ぎます✨。

 

3) レイアウト設計:土場・導線・旋回半径を先に決める
• 土場:トラックの頭抜きが容易な一方通行レイアウト。旋回半径、待避所、吊荷の危険エリアを明示し、立入線をカラーコーンと看板で管理。
• 導線:伐採→集材→積込の交差ゼロを原則に。重機同士の死角を減らすため、視線が抜ける配置にこだわる。
• 雨水排除:側溝・横断排水管(カルバート)・路肩切り下げ。“水が止まる場所”は必ず壊れます。路面クラッシャーの締固め密度も記録。

 

4) サイクルタイムを短縮する:数式で“詰まり”を見える化
• 生産性の基本式:[出来高(m³/h)= 1サイクル材積(m³) ÷ 1サイクル時間(min)× 60 × 稼働率]
• 計測方法:30分間タイムスタディ。作業区分(伐倒/枝払い/玉切/移動/待ち/段取り/故障)で色分けし、“待ち”が20%を超えた工程から順に改善。
• 改善例:
o フォワーダの積込順を材長・径級別に固定→積込時間▲12%。
o ハーベスタの測尺テーブルに需要優先の長さプリセットを登録→玉切り迷いをゼロ。
o 無線手順(始業・中間・終業)を3フレーズで標準化→段取り替え時間▲8%。

 

5) 雨天・路面コンディションの判断基準 ⛈️
• 中止ライン:降雨強度10mm/h超 or 路面CBR想定値が閾値以下、視程低下、土場の車輪跡深さが15cm超→作業切替(整備・架線準備・仕分け)。
• 養生:ラバーマット・伐採枝の敷設、路面クラッシャー再転圧、横断溝の解放。復旧の手間をケチるとライフサイクルコストが跳ね上がります。

 

6) 品質=お金:仕分けとトレーサビリティ
• 長さ・等級の現場決定:需要先と共有する“許容誤差表”(±2cm/±5cmなど)を携帯し、迷いをなくす。
• タグ管理:丸太ごとに用途・等級・長さ・伐区コードを色分けタグ+QRで付与。土場での積込ミスとクレームを激減。
• 写真台帳:積込前・出荷前の定点写真を習慣化。品質クレームの【言った/言わない】を無くす。

 

7) 原価の見える化と見積の“攻め所”
• 機械償却・燃料・消耗品・オペ人件費・保険・運搬を1時間当たり原価で管理。
• 搬出運賃は距離別テーブルで明示し、集材距離短縮の投資(路網改善)とのトレードオフを可視化。
• 見積は“材積×単価”だけでなく、仕分け精度・納期遵守率・安全記録も価値として提示。値引きではなく価値の言語化で交渉。

 

8) 事故事例→対策:ゼロ災へ
• 挟まれ・巻き込まれ:立入禁止帯の“見える化”(フラッグ・カラーコーン)とリーダーの復唱確認。
• 転落・転倒:傾斜地の動線に退避ポケットを30mごとに設置。
• 通信不良:無線の死角マップを作成し、中継ポイントを設定。

 

9) ミニケース:どのシステムが最適?
• 条件:傾斜25°、胸高直径24cm中心、集材距離120m、路網密度60m/ha、面積6ha、水路沿いに保全帯あり。
• 比較:
o CTL型:ハーベスタ+フォワーダ。地引き中心で安全、仕分け精度◎。ただし集材距離が長くフォワーダの待ち発生。
o プロセッサ+スイングヤーダ型:設営に30〜40分/日、だが120m引き寄せでフォワーダ待ち解消。土場処理で長さ精度◎。
• 結論:ヤーダ型を採用、ただし土場2面体制(処理用と積込用を分ける)で待ち時間を更に圧縮。出来高+18%、原価▲9%を達成。

 

________________________________________

現場で今日からできる3つ
1) 30分タイムスタディを実施し、“待ち”が多い工程を1つだけ潰す。
2) 需要先の許容誤差表をラミネートして重機に常備。
3) 土場レイアウトの手書き図を朝礼で共有し、交差ゼロを徹底。

 

次回の宿題
• 自社の“標準作業システム表”(地形×径級×距離)を作成する。
• 集材距離の分布(最短/最長/平均)を1現場だけでよいので計測し、次の見積りに反映。

 

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株式会社上市屋銘木店のよもやま話~間伐の設計と実務:質で儲ける発想~

皆さんこんにちは!
株式会社上市屋銘木店、更新担当の中西です。

 

間伐は“抜いた本数”ではなく残した木の将来価値で評価します。光・風・根・水のバランスを設計し、将来材の単価UP×現在の出来高を同時に達成するのがプロの間伐。ここでは、選木基準→間伐様式→レイアウト→伐倒・集材→損傷最小化→下層植生→仕分け・販路→原価→安全→モニタリングまで、現場がそのまま使える型に落とします。

 

1) 目標設定:“光を設計する”という考え方
LAI(葉面積指数)・林冠開空率・胸高直径分布から目標光環境を決める。
密度管理:地位指数×林齢ごとの目標本数/haと**BA(本数基底面積)**で数値管理。
品質目的:枝下高、年輪幅、通直性、節の大きさ。JAS等級を意識して残す木を選ぶ。

 

2) 選木基準:残す木の“顔”をそろえる
幹:通直・テーパー小・傷なし。
樹冠:偏り少・光獲得良、主枝の健全。
根:土盛り・根返り・盤状根はマイナス評価。
負の選木:病虫害・曲がり・二又・被圧樹は優先伐倒。

 

3) 間伐様式:列状・群状・点状の使い分け
列状:機械化・集材効率◎、風害リスク△。両側残しで倒伏分散。
群状:光環境が滑らか、更新促進。作業導線の計画が重要。
点状:ピンポイントで良木を伸ばす。高価値化狙い。
強度:初期は軽度(間引き)、育林後期はやや強度で枝下高・径級を稼ぐ。

 

4) レイアウト:伐倒方向と導線で決まる 
伐倒方向:集材導線と直交を基本に、残存木の樹冠むきと風向、傾斜を考慮。
土場と持ち出し:集材距離を短縮、交差ゼロ。斜面は退避ポケットを30m毎。
雨水排除:路面・作業道の排水を先に作る。水が止まる場所は壊れる。

 

5) 伐倒・集材:サイクルタイム短縮の要点 ⏱️
伐倒:受け口45°・深さ1/4–1/5・ヒンジ1/10–1/8、くさび常備。倒木後の枝払いは足元整理→枝の基部から。
集材:フォワーダの積込順固定(長さ×径級)で迷いをゼロに。ヤーダはターン当たり本数×距離で能力設計。
待ち時間:土場2面体制、ハーベスタ長さプリセットで玉切り迷いを無くす。

 

6) 損傷最小化:残す木を守る
皮剥け:接触ポイントに養生材、重機の振り幅に立入禁止線。
根系:機械の斜め走行と急旋回禁止。雨天は養生マットで路面保護。
枝打ち:将来材は節の位置を意識。鋭角刃で枝の付け根を残さない。

 

7) 下層植生と更新:次の世代を仕込む
光の入れ方で広葉樹の混交を誘導。更新を邪魔するシカ対策(柵・チューブ・電気柵)。
表土保全:裸地化を避け、表層流の制御と桟積み枝で侵食抑制。

 

8) 仕分け・販路:間伐材で“値段を作る” 
長さ:需要先の許容誤差表(±2/±5cm)で迷いを排除。
用途:チップ・杭・内装小径材・景観材・DIYに事前販路を紐付け。
トレーサビリティ:色タグ+QRで等級・長さ・伐区コードを紐付け、クレーム減。

 

9) 原価と採算:良い間伐は赤字じゃない
採算式:収入(用途別単価×材積)−(稼働×時間原価)−運搬−防護費。
改善効果:間伐後の年輪幅縮小→材質向上は、将来のJAS等級で回収。**“今の小銭+将来の大銭”**で設計。

 

10) 安全:ヒヤリをゼロにする文化
TBM:危険3点(挟まれ・転落・飛来)を地図で可視化。
退避:伐倒方向45°後方へ、二本の退避路。
通信:無線チャンネル固定、復唱ルール。わからない時は止まる。

 

11) モニタリング:数値で良し悪しを語る
測定:D級分布のシフト、BA、LAI、残存木損傷率、下層植生カバー率。
写真:定点でBefore/After、枝下高と光環境を記録。
レビュー:出来高、原価、クレーム、事故、KPIを月次で評価。
ケーススタディ:D20中心の人工林、列状強度間伐
条件:地位指数中、傾斜20°、路網密度70m/ha。
施業:列状間伐(1抜き2残し)、土場2面、ヤーダ→土場プロセッサ。
結果:出来高+22%、待ち時間▲18%、残存木損傷1.8%→0.6%、次期主伐の単価見込み+○%。
現場で今日からできる3つ ✅
許容誤差表(長さ・径級)をラミネートして重機に常備。
退避ポケットを30m毎に設定し、カラーコーンとペイントで可視化。
定点写真で光環境と枝下高を記録、台帳にリンク。

 

次回の宿題
一つの伐区でLAI・BA・D級分布のBefore/Afterを測り、仕分け単価と出来高の変化を振り返る。

 

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株式会社上市屋銘木店のよもやま話~循環型林業という未来🌏~

皆さんこんにちは!
株式会社上市屋銘木店、更新担当の中西です。

 

 

循環型林業という未来🌏

私たちは、木を伐ることを「破壊」と思いがちです。
しかし、正しく管理された伐採は「再生」の第一歩。
森は伐ってこそ、若返り、新しい命を育むのです。

今、林業の現場では“循環”をキーワードにした取り組みが広がっています。
それは、森だけでなく、人と地域、そして地球全体を元気にする活動です。


🌱1. 循環型林業とは?

従来の林業は「伐って売る」だけの直線的な構造でした。
しかし今注目されているのは、「伐って・使って・再び植える」という循環モデル。

この考え方は、
① 森林の健全化
② 地域経済の循環
③ 環境負荷の低減
という3つの価値を同時に生み出します。

つまり、森の成長=地域の成長なのです。


🏡2. 地域とともに動く林業

林業は、最も地域密着型の産業の一つです。
山に道を作り、伐採し、搬出し、製材し、販売する。
そのすべてが、地域内で完結します。

近年では、「地域森林組合」と「地元企業」「自治体」「学校」などが連携し、
森を“地域資源”として活かす取り組みが増えています。

・子どもたちの森林体験学習
・木育(もくいく)プロジェクト
・地域の間伐材を使ったベンチや遊具の製作
・林業女子の活動や地域イベントでの木工ワークショップ

こうした活動が、若い世代に森の魅力を伝え、
“森と暮らす文化”を次世代へと引き継いでいます🌸


🔥3. 木をエネルギーに変える ― バイオマスの力

伐採後の枝や端材など、本来は廃棄される木材も、
今では木質バイオマス燃料として活用されています。

木を燃やして発電し、その熱を地域施設に供給する“地域熱利用”。
これにより、CO₂排出を実質ゼロに近づけ、
化石燃料依存から脱却することができます。

さらに、製材所から出るおがくずやチップも、
ペレットストーブ燃料として再利用され、
“木のエネルギー”が新しい地域循環を生み出しています。


💧4. 森林管理と防災の関係

森の手入れが行き届かないと、土砂災害や洪水のリスクが高まります。
根が浅くなることで、雨のたびに土砂が流れ、川が濁る。
林業の衰退は、環境問題だけでなく“人命リスク”にも直結します。

そのため各地では、
・荒廃山林の再整備
・治山工事と植林の連携
・伐採後の地盤安定処理
といった取り組みが進んでいます。

「木を伐る=山を守る」
この認識を社会全体で共有することが、これからの防災林業の基盤となります。


🧑‍🌾5. 林業の働き方と担い手育成

林業の未来を語る上で欠かせないのが、“人”の問題です。
全国で林業就業者の平均年齢は50代後半。
一方で、ここ数年、20〜30代の新規就業者が増加しています。

背景には、
・環境問題に関心を持つ若者の増加
・Uターン・Iターンによる地域移住の動き
・国や自治体の「緑の雇用」制度などの支援

また、最新の林業機械やICT導入によって、
女性や未経験者でも働きやすい職場環境が整いつつあります。
「チェーンソーだけが林業ではない」時代が、すぐそこにあります。


🌏6. 未来への提案 ― 森を“まちづくり”に活かす

木を伐ることから始まる“まちの循環”。
林業は、建築・観光・教育・エネルギーといった他産業と結びつくことで、
新しい地方の経済モデルを作り出す可能性を秘めています。

・木造公共施設の建設
・木質舗装の遊歩道
・木育カフェや地域工芸館の運営
・間伐材を使ったブランド製品の開発

森を中心にした地域デザインは、
「自然と共に生きる日本の原点」を取り戻す動きでもあります。


✨7. まとめ

林業は、過去と未来をつなぐ産業。
木を伐り、植え、また森を育てるその循環の中に、
“持続可能な社会”の原型が息づいています。

私たちが森を選び、木を使い、環境に想いを寄せること。
それが、次の100年の森を育てる第一歩です🌲

 

 

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株式会社上市屋銘木店のよもやま話~“緑の経済”~

皆さんこんにちは!
株式会社上市屋銘木店、更新担当の中西です。

 

 

“緑の経済”

日本の国土の約7割が森林。
そのうち、およそ4割は“人の手によって植えられた人工林”です。
スギ、ヒノキ、カラマツ、アカマツなど——これらを管理し、育て、伐り、また植える。
それが、**林業(forestry)**という仕事です。

かつては“きつい・危険・儲からない”といわれた林業。
しかし近年、脱炭素・再生可能資源・地方創生の文脈で、再び脚光を浴びています。
今回は、現代の林業が果たす役割と、その奥にある“人と森の共生”を掘り下げていきます


1. 森林を「育てる」という産業

林業の仕事は、木を切ることではなく、森を育てること
苗木を植えてから、伐採できるまでに約50〜80年という時間がかかります。
つまり、1人の林業従事者が“自分の植えた木を伐ることなく人生を終える”ことも珍しくありません。

その間に行われる主な作業は

1️⃣ 植林:伐採後に苗木を植える。
2️⃣ 下刈り:雑草や低木を除去し、苗の成長を助ける。
3️⃣ 間伐:密集した木を間引き、残りの木の光合成を促す。
4️⃣ 枝打ち:節を少なくし、良質な材木にするための剪定。
5️⃣ 伐採・搬出:成熟した木を伐り出し、丸太として市場へ。

これらの作業が連鎖しながら、1本の木を「製品」へと育て上げていきます。
まさに“100年単位の農業”といえるのが林業です。


2. 現場のテクノロジー ― スマート林業の時代へ

かつて林業は“人力とチェーンソーの世界”でした。
しかし今は、ドローン・GPS測量・ICT・高性能林業機械の導入により、
「スマート林業」へと大きく変わりつつあります。

たとえば

  • ドローン撮影+GISで、伐採範囲や樹種構成を3D可視化。

  • 高性能ハーベスタで伐倒・玉切り・皮むきを自動処理。

  • データ管理アプリで伐採記録・搬出量をリアルタイム管理。

これにより、労働負担の軽減・安全性の向上・材価の安定化が進んでいます。
若手が参入しやすくなっただけでなく、**「森の見える化」**が政策判断にも役立っています。


3. 林業が支える環境と経済

森林は単に木材を生産する場所ではありません。
雨水を蓄え、CO₂を吸収し、土砂災害を防ぎ、生態系を守る。
そのすべてが「自然のインフラ」です。

林業が持続的に行われることは、
このインフラを“守りながら利用する”という、極めて重要な経済行為。

また、木材利用の拡大は「脱炭素社会」に直結します。
木は成長中にCO₂を吸収し、伐って建築材に使えば、その炭素を長期間固定できます。
鉄やコンクリートと比べても、木材は製造時のエネルギー消費が少なく、環境負荷が小さい。

つまり林業は、環境と産業を両立させる“グリーンエコノミーの要”なのです。


4. 木材の価値を“暮らしの中へ”

林業が生み出す木材は、住宅・家具・紙・燃料など、私たちの生活を形づくる素材です。
近年は特に、国産材の利用拡大が進んでいます。

・住宅の内装にスギ・ヒノキを使う
・木製パレット・木質チップによる物流の脱プラ
・バイオマス発電用チップで再生エネルギー化

「伐って使って、また植える」このサイクルをまわすことで、
森林資源を持続的に活かすことができます。

国産材利用の増加は、地域経済の自立にもつながります。
林業者・製材所・建築会社・自治体が連携することで、
“地産地消の森づくり”が現実になりつつあります。


5. 森を未来へ

林業は、今まさに転換期にあります。
人口減少による担い手不足、材価の低迷、気候変動による害虫被害…。
それでも、森は人の手を待っています。

森を守ることは、地域を守ること。
一本の木を育てることは、百年先の風景をつくること。

林業は“過去の産業”ではなく、“未来をつくる仕事”です。
森に生きる人たちの誇りは、きっとこれからもっと多くの人に届くでしょう。

 

 

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株式会社上市屋銘木店のよもやま話~森林経営計画のつくり方:収支とスケジュール~

皆さんこんにちは!
株式会社上市屋銘木店、更新担当の中西です。

 

森林経営計画は“申請書”ではなく経営の設計図。現場で迷わない導線と、資金が詰まらないキャッシュフロー、そして安全と環境の前提を一枚の地図に重ねることが本質です。本回では、(1)棚卸し→(2)路網→(3)施業スケジュール→(4)人員・機械アサイン→(5)原価と収支→(6)リスク→(7)監視KPI→(8)合意形成、までをテンプレ化します。🌲🧭

 

0) 目的とアウトプット 🎯
目的:①安全に稼働 ②赤字現場を作らない ③再造林率を上げる ④地域の納得を得る。
アウトプット:A4×10枚以内の計画書セット(GIS地図、スケジュール、原価表、KPI、合意書式)。長い=良いではありません。

 

1) リソース棚卸し:数字と位置をそろえる 🧮🗺️
林分台帳:林齢・樹種・本数密度・材積(m³/ha)・地位指数・傾斜・作業難易度。
制約レイヤー:保安林区分、河川・湿地、文化財、鳥獣保護区、急斜面、法面崩壊履歴、通信圏外域。
境界:既存杭・石標・過去の立会記録・私設境界。写真と座標で証跡化。
品質把握:胸高直径分布(D級別)、枝下高、曲がり、病害の有無。歩留まり表の初期値を作る。
TIP:棚卸しは“1回完璧”ではなく改善サイクル。現場ごとに観測→台帳更新→次の見積精度UP📈。

 

2) 路網計画:“通す”のではなく“壊れない”を設計 🛣️📐
目標:集材距離の平均100m以下、旋回Rと待避所で交差ゼロ導線。
設計:縦断勾配(作業道8–12%/林道6–10%)、横断勾配2–4%、カーブR≥12–15m、横断溝30–50m毎、湧水の逃げ道確保。
材料・施工:路床転圧回数記録、クラッシャー粒度、法面マット仮撒き。雨期前倒しで排水先行。
維持:大雨後24h点検、詰まりリストの定期清掃。

 

3) 施業スケジュール:年→月→週→日へ分解 ⏱️
10年鳥瞰:間伐→主伐→更新(植栽・下刈・防護)を流域単位で配置。**作業の“連続性”**を意識。
年間計画:雨期・雪期・狩猟期・監査時期・補助採択時期をカレンダー化。許認可の待ち時間を工程に組み込む。
月次→週次:現場の切替タイミング、機械の整備週、教育日(安全・目立て・ドローン)。
日次:TBM(朝礼)のチェック項目、退避ポケットの設定、無線チャンネル、中止基準(降雨・視程)。

 

4) 人員と機械のアサイン:最小の班で最大の出来高 👷‍♀️⚙️
標準班:ハーベスタ1+フォワーダ1+補助1(3名)/ヤーダ型は集材2+土場1など。交替要員の確保で稼働1.2倍。
レイアウト:土場2面(処理用/積込用)で待ち時間削減。交差ゼロを原則に。
保守:日次→油水・グリス・センサー、週次→ローラ・ホース、月次→油圧・フィルタ。壊れる前に止める。

 

5) 原価と収支:式と前提を固定する 💴
時間原価:機械償却+金利+保険+保守+燃料+人件(円/h)。
搬出原価:集材距離・傾斜・路面強度・雨天率の係数で補正。
出来高:1サイクル材積(m³)÷サイクル時間(min)×60×稼働率。
現場採算:収入(用途別単価×材積)−(稼働時間×時間原価)−運搬−再造林費−保険。赤字ラインを事前に計算。
投資採算:路網・機械のNPV/IRR。例:路網90→120m/haで原価▲○%なら投資回収○年と明示。

 

6) リスク管理:トリガーと代替案を併記 🛡️
自然:大雨・台風・降雪・高温。中止トリガー(mm/h・WBGT)と代替作業(整備・仕分け)。
安全:60分行動計画(停止→通報→救急→現場保存)。
市場:単価下落時の用途転換(内装材・景観・熱)。
人員:欠員時の2in1配置(重機+チェンソー)で代替。

 

7) モニタリング:KPIで学習する 📊
KPI:出来高、搬出原価、稼働率、待ち時間比率、納期遵守、安全指標(ヒヤリ・休業災害)、再造林率。
見える化:現場ホワイトボード+月次ダッシュボード。赤信号の定義を数値で固定。
監査:写真台帳(出荷・排水・境界杭・PPE)、認証/補助の証憑をロットで紐付け。

 

8) 合意形成・近隣対応 🤝
1枚説明:工程、時間帯、車両台数、土埃・騒音対策、緊急連絡先。
立会い:境界・伐倒方向・通行。ドローン斜め写真でわかる化。
クレーム対応:24h以内の初動、写真と記録で再発防止へ。
ケーススタディ:6ha急傾斜の主伐更新 🧪
条件:傾斜25°、路網密度60m/ha、集材距離120m、D24中心。
計画:ヤーダ+プロセッサ、土場2面、横断溝40m毎、待避所80m毎。
結果見込み:出来高+18%、搬出原価▲9%、納期遵守98%、再造林率100%。
現場で今日からできる3つ ✅
現場KPIボード(出来高・待ち比率・納期・安全)を作って朝礼で共有。
中止基準(降雨・WBGT・視程)を紙と無線で周知。
路網図に排水・待避・危険レイヤーを追加し、写真台帳と連携。

 

次回の宿題 📝
次の現場についてA4×1枚の計画書(地図・工程・原価・KPI)を作成し、社内レビューにかける。

 

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株式会社上市屋銘木店のよもやま話~スギヒノキ人工林の課題とチャンス~

皆さんこんにちは!
株式会社上市屋銘木店、更新担当の中西です。

 

戦後造成のスギ・ヒノキ人工林は、資源量のピークに向かう一方で、手入れ遅れ・過密・労働力不足・搬出コスト・花粉・風倒リスクなど、多岐の課題を抱えます。しかし“課題がある=価値創造の余地が大きい”ということ。現実的な打ち手を整理します。

 

1) 過密→品質停滞→単価低迷の連鎖を断つ ✂️
間伐の遅れは年輪幅・枝下高・曲がり・節に直結し、JAS等級の壁になります。計測のデジタル化(胸高直径分布の自動化、ドローン写真測量、LiDAR)で“証拠を持って”最適密度へ。歩留まり表を現場で更新し続けましょう。

 

2) 路網×機械化で搬出コストを削減 
路網密度が低いと集材距離が伸び、コストと事故リスクが増大。路面排水・カーブ半径・待避所などの標準仕様を持ち、フォワーダやスイングヤーダと整合する線形で設計。現場の“車線幅”と“旋回”を最初に決めるのがコツです。

 

3) 花粉・風倒・乾燥化への適応 
品種と更新様式の見直し、混交化、列状間伐、林縁の防風帯整備でリスクを分散。乾燥ストレス増大には下層植生の維持と土壌有機物の回復が効きます。被害前提の“レジリエンス設計”で、保険・備蓄・バックアップ路網も整えます。

 

4) 用途開拓:構造材+内装・家具・景観へ 
節や色を“欠点”ではなく“意匠”に変えるのが2020年代の潮流。内装パネル・什器・小規模建築・DIY材・外構・土木仮設など、径級や等級の幅広さを武器に。乾燥・仕上げ・表面加工で単価を引き上げます✨。

 

5) カーボン×地域通貨:価値の二重取り
伐採→利用→再造林の循環が回っていることは、クレジットや補助金、公共調達の加点で“現金化”できます。自治体・企業と連携し、地場で“木を使う”プロジェクトを継続的に生み出しましょう。

 

まとめ
人工林は“改善の余白”が大きい資産です。データで密度と品質、路網で搬出、用途で単価、カーボンで外部資金。課題を“事業機会”に反転させる視点が鍵となります。

 

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株式会社上市屋銘木店のよもやま話~森林生態のキホン:多様性・更新・水循環 🐛💧 ~

皆さんこんにちは!

株式会社上市屋銘木店、更新担当の中西です。

 

「木を育て売る」前に、森が“どう回っているか”を掴むことは収益にも安全にも直結します。ここでは、更新(更新様式)、種多様性、階層構造、土壌と水循環、光環境、病害虫・風倒・雪害など、現場で判断に効くエッセンスをまとめます🔍🌿。

 

1) 更新様式:一斉か、連続か 🌱🌤️
皆伐更新は生産性が高く、路網・機械の効率が出ます。一方、連続林相・択伐は景観・生態・災害面でのメリットがあり、観光・教育・防災の複合価値を狙えます。地位指数・土壌・傾斜・需要で“現場最適”を選ぶ姿勢が要点です🧮📍。

 

2) 種多様性と混交化:レジリエンスのエンジン 🌳🍁
単一樹種は管理がシンプルですが、病害・乾燥・強風に弱い面も。広葉樹の混交や針広混交林の設計は、害虫の伝播抑制や根系の多様化で倒伏リスクを分散します。景観・観光価値の向上、紅葉・花期の魅力づけも副次効果🍂📸。

 

3) 光環境と階層:間伐の“効かせ方” ☀️📏
林冠の切り方次第で下層植生と更新力は激変します。過密なら生長停滞、過度の開放で乾燥・侵食リスク。ドローンや簡易分光での葉面積指数(LAI)推定、地上での胸高直径分布把握を組み合わせ、“光の設計”を定量化🔦🛰️。

 

4) 土壌・水:作業道づくりとも直結 ⛏️💦
団粒構造の維持、表層流の制御、路面排水、堆積物管理は“土砂災害×収益”の両面で重要。現場では雨前後の踏査、湧水の筋の把握、仮排水路・路肩の点検をルーティン化。植生の回復速度も収益の時間価値に影響します🕒🌧️。

 

5) 摂食者・病害虫・自然撹乱 🐞🌬️❄️
ニホンジカ等の食害は更新の最大リスク。防護柵・誘引・間伐タイミングの工夫で被害の“集中”を避けます。病害虫(マツ材線虫等)や台風・湿雪被害の確率分布を理解し、保険・備品・路網バックアップを整備🧯📦。

 

まとめ 🧭
生態の理解は“コストをかける場所とタイミング”の判断精度を高めます。混交・階層・水の制御で、強く美しい森づくりへ。観光・教育・カーボンの複合価値も同時に狙いましょう🌟。

 

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株式会社上市屋銘木店のよもやま話~日本の林業の現在地とこれから ~

皆さんこんにちは!

株式会社上市屋銘木店、更新担当の中西です。

 

日本は国土の約7割が森林で、そのうち多くを戦後造成の人工林が占めます。素材生産量の回復、住宅以外の木造需要、脱炭素の追い風など、林業を取り巻く環境は静かに“構造転換”期へ。とはいえ、収益性・人材・所有者不明地・境界・路網など、課題は積層的。ここでは“いま”の全体像を、現場の意思決定に直結する視点で整理します。

 

1) 価値連鎖(バリューチェーン)を俯瞰する
林業の売上は「立木→素材→製材/集成→建築・内装→最終顧客」の連鎖で生まれます。各段階に“ボトルネック”があり、往々にして現場の努力だけでは利益を取り切れません。例えば、①伐出単価の見直し、②丸太の用途別仕分け精度、③乾燥・等級での価値付け、④販路の多角化(住宅材+非住宅、構造材+内装材)、⑤B2Bの継続契約化など、チェーン全体で“粗利が逃げない仕組み”を設計することが肝要です。

 

2) 供給サイド:路網×機械化×安全
収益の基礎は路網密度と機械稼働率に宿ります。作業道の線形・勾配・路面強度、集材距離の短縮、高性能林業機械の適切な編成(ハーベスタ+フォワーダ等)、交替作業での稼働時間最大化、日報の見える化が鍵。安全は“コスト”ではなく“利益の前提”。労災・ヒヤリの削減は稼働の安定化と保険料の低減につながります。

 

3) 需要サイド:住宅一本足打法からの脱却
人口動態と住宅着工の減少を直視しつつ、非住宅・中大規模木造、内装・什器、景観・土木(丸太土留め等)、バイオマス熱利用、カーボンクレジットまで、需要の“面”で捉える発想が必要です。CLTやLVL、内装のデザイン需要、オフィスの木質化など、設計者との早期連携で“用途設計”から逆算するのが勝ち筋。

 

4) 脱炭素と自然資本:二兎を追って二兎を得る
森林吸収源やJ-クレジット等の制度が進化し、木材利用のLCA評価も整備が進みます。吸収量“だけ”でなく、更新・間伐・混交化によるレジリエンス、流域治水や土砂災害軽減といった自然資本の価値も加点対象に。経営は「材積×単価」+「環境価値×売り先」のポートフォリオで最適化を図りましょう。

 

5) ヒト・組織:採用→育成→定着→多能工化 ‍
採用では“給与だけでない”魅力の可視化(週休、装備、安全文化、キャリアパス)。育成はOJT+座学+デジタル教材、定着は評価制度と現場の心理的安全性に直結。チェンソー・集材・重機・測量・ドローンなどの多能工化は、小規模事業体の競争力を底上げします‍‍。

 

6) 収支モデル:現場別の“型”を持つ
傾斜・路網・木齢・樹種の条件で、一番儲かる作業システムは変わります。丸太径級別の歩留まり表、搬出コスト曲線、稼働率、労務費、リスク余裕金まで“前計算”を徹底し、現場ごとにテンプレ化。赤字現場を作らない運用へ。

 

まとめ
林業は“長い時間”を扱う産業です。だからこそ、いま手元の1年計画と10年ビジョンを両持ちにする。需要の多角化・路網と機械・安全と人材・環境価値の組み合わせで、地域と会社の持続可能性を同時に高めていきましょう。

 

 

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株式会社上市屋銘木店のよもやま話~アスファルト化~

皆さんこんにちは!

株式会社上市屋銘木店、更新担当の中西です。

 

~アスファルト化~

 

日本各地で道路や宅地の不透水面(アスファルト・コンクリート)が増えると、森林と流域のバランスが変わります。林業にとってはアクセス性の向上というメリットと、水循環の乱れ・土砂リスク・生態断片化というデメリットが表裏一体。現場で役立つ要点をまとめます。


1|水:雨の行き先が変わる

  • 浸透↓・表面流出↑で、下流の増水ピークが立ち上がりやすくなる。

  • 森林側では渇水期の湧水・沢水が細りやすい=苗木活着・間伐後の更新に影響。

  • アスファルト道路からの集中排水が谷頭や法面に当たるとガリー侵食や小規模崩壊の引き金に。

対策
透水型舗装・側溝の分散放流、路面横断排水(カットオフ)・雨庭/調整池の併設、渓畔部の緩衝帯(バッファ)設定。


2|土:締固めと微地形の破壊

  • 舗装・造成で土壌の団粒構造が壊れ、保水・通気が低下。

  • 集材路や土場の恒久舗装は泥濘を減らす一方で、雨の“逃げ道”を用意しないと周囲の林地へ負荷集中。

  • 微地形(凹凸)を均してしまうと、実生床や林床植生が痩せる。

対策
土場は半透水化+周縁に浸透帯、法面はヤシ繊維マット+早期緑化、路網は等高線追従で切土・盛土を最小化。


3|生態:断片化と“縁(エッジ)”効果

  • 舗装道路は生息地の分断を招き、ロードキルや外来種侵入の回廊になりやすい。

  • 林縁は乾燥・高温・風当たりが強まり、スギ・ヒノキ若齢林や広葉樹更新に不利。

対策
野生動物横断構造(ボックス・カルバートの改修)、在来種での林縁帯再生、路肩の外来草本管理を年次計画に。


4|経営:アクセス向上の恩恵とリスク管理

メリット

  • 素材運搬の効率化、災害時の消防・救急アクセス、観光・レクリエーションの受け皿。

リスク

  • 人流増で不法投棄・たき火・盗伐の監視負荷↑。

  • 降雨強度が大きい地域では、補修・排水維持コストが嵩む。

運用の勘所

  • IOTカメラ・入退管理、路網台帳×ドローン点検で維持管理を省力化。

  • 地元と協定を結び、林道の目的外利用ルール(オフロード、BBQ等)を明文化。


“舗装する/しない”の判断フロー(現場版)

  1. 機能:常時通年通行が必要?(救急・観光・通学・物流)

  2. 地形・土質:集水が集中する谷頭・崩壊地形は非舗装+透水設計を原則に

  3. 生態:希少種・渡りルートがあるか(あれば回避or横断構造

  4. 維持費:10年スパンのLCCで比較(補修・排水清掃・法面緑化含む)

  5. 代替案簡易舗装・スラリー・固化土など“半透水”や間欠舗装を検討


低影響(LID)型の組み合わせ例

  • 透水性舗装+生物浄化側溝(バイオスウェール)

  • 交差点手前にレインガーデン、末端に小規模調整池

  • 法面は粗朶・丸太筋工+在来種播種で土砂動態を抑制


モニタリングKPI(簡易で効く)

  • 路肩の侵食長(cm/年)/側溝の堆砂量(L/回)

  • 林縁の枯損・倒木本数/外来草本の被度

  • 小流域でのピーク流量比(整備前後の比較)

  • 補修発生件数/㎞・年費用/㎞・年


事例イメージ(要点)

  • 観光林道の一部を透水化+分散放流に改修 → 豪雨後の路面損傷が減り、下流の濁り苦情が激減。

  • 製品運搬路は交差点と急勾配部のみポイント舗装、中間は砕石路盤+排水横断で維持費を半減。


アスファルト化はゼロか100かではありません。
林業の視点では、「舗装する場所の選択」×「透水・排水」×「緑の補償」が鍵。
この三点を設計と運用に落とし込めば、アクセスの利を活かしつつ、水・土・生態系・経営の健全性を同時に守れます。

 

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株式会社上市屋銘木店のよもやま話~自然区域~

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株式会社上市屋銘木店、更新担当の中西です。

 

~自然区域~

日本の森林は、亜寒帯→冷温帯→暖温帯→亜熱帯へと南北・標高で滑らかに切り替わります。さらに日本海側の豪雪太平洋側の台風・塩害内陸の寒暖差というローカル条件が重なり、同じ樹種でも“育て方”が変わります。林業経営に直結する観点で、主要な自然区域と勘所をまとめました。


1) 亜寒帯(北海道・本州高標高帯)

  • 主な樹種:エゾマツ・トドマツ・ダケカンバ・カラマツ

  • 現場リスク:強風・着雪折損・凍害、エゾシカ食害

  • 経営の勘所

    • 長伐期&選木・択伐で蓄積を太らせる

    • 冬期路網の凍結地耐荷を活かした搬出計画

    • 防鹿柵・ツリーシェルターで再造林の初期保護

2) 冷温帯(東北~中部山地・日本海側多雪)

  • 主な樹種:ブナ・ミズナラ・トチ・サワグルミ、人工林のカラマツ・スギ

  • 現場リスク:豪雪・雪起こし、ナラ枯れ、急傾斜の土砂災害

  • 経営の勘所

    • 広葉樹の混交化で病虫害と風雪耐性を底上げ

    • 架線集材と高性能機を組み合わせた省力搬出

    • 雪圧対策(植栽密度・列向き・早期間伐)

3) 暖温帯(関東南部~近畿・四国・九州の低~中標高)

  • 主な樹種:スギ・ヒノキ・クヌギ・コナラ(照葉樹はシイ・カシ・タブなど)

  • 現場リスク:台風・豪雨、シカ食害、乾燥期の活着不良

  • 経営の勘所

    • 主伐→再造林→保育を確実に(下刈・除伐・間伐の時期厳守)

    • 花粉・台風対策で低花粉品種・耐風型枝打ち

    • 渓畔・急傾斜は多層林化で土砂災害に強い森づくり

4) 乾燥・塩害フロント(瀬戸内・太平洋沿岸の一部)

  • 主な樹種:アカマツ・クロマツ、コナラ二次林、防潮・防風の海岸林

  • 現場リスクマツ材線虫病、塩害、山火事

  • 経営の勘所

    • マツ単層林を広葉樹混交へ転換、抵抗性マツのポイント導入

    • 海岸林は帯状の役割配分(前列=抵抗力、後列=多様性)

    • 燃えにくい路網設計と下層燃料の管理

5) 亜熱帯(南西諸島)

  • 主な樹種:リュウキュウマツ・オキナワウラジロガシ、マングローブ(オヒルギ等)

  • 現場リスク:強台風・塩害・外来種、薄い土壌

  • 経営の勘所

    • 防風林・景観林と木材利用のバランス設計

    • マングローブ域は保全優先+環境教育・ツーリズム連携

    • 風当たりを読む**樹形づくり(剪定・枝打ち)**と密度管理


横断テーマ:気候・生物災害への“適地適木”再設計

  • 高温・多雨・強風の増加に合わせ、混交・多層・長伐期へシフト

  • 病虫害(松枯れ・ナラ枯れ)は抵抗性樹種・抵抗性品種+発生前の更新で先手

  • シカ食害は植栽前から防護・誘引・密度調整を計画的に

  • 土砂・洪水に対し、渓畔は広葉樹、尾根は耐風性針葉樹など機能配置


区域別の“使えるKPI”

  • 更新成功率(3年生存率)/成長量(m³/ha/年)

  • 間伐実行率(計画対比)/混交率(広葉樹割合)

  • 路網密度・可搬出率病虫害発生率再造林コスト/ha


森林所有者・事業体のチェックリスト

  • □ 自分の林分はどの区域タイプか(気候帯+豪雪/台風/乾燥の補正)

  • □ 樹種構成は単層偏重になっていないか

  • □ 再造林の**初期3年計画(防鹿・下刈・補植)**は明文化済みか

  • 路網と土砂リスクの地形診断を更新したか

  • □ 病虫害の抵抗性樹種/品種の選択肢を検討したか


日本の“自然区域”は、樹種選定・育林・路網・防災の答えを教えてくれます。
自分の森を区域の文脈で捉え直し、適地適木×混交多層×防災設計へ。これが、収益性とレジリエンスを同時に高める最短ルートです。

 

 

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